雨のブログ

人生の雨季に本を読む

「最後まで話を聞いてみませんか?」

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誰かと1対1で話をしているときに、途中で話をかぶせられて黙ってしまったら、負けた気がします。かぶせたほうは発言を奪った意識がなく、私がしぶしぶ譲らざるを得なかったことも知りません。
会社内で地位や役職が高い人は、ふつうの状態が威圧的に働いていることになかなか気づきません。自分はフランクに接しているつもりでも、相手を恐れさせて、抑圧していることが分からないのです。

地位や役職が高い人は、低い人から指摘されない限り、自らの話をかぶせたことに気づくのはまれです。割り込みの被害にあった当人はなかなか言い出せないのが、我ながら情けないです。
そんな人たちに対抗する一つの手段が、『影響力の武器』にあった「コミットメントと一貫性」を使う方法です。
epascal.hatenablog.com
「コミットメントと一貫性」とは、いったん決めたことは最後まで貫き通そうとする人間の性質のことをいいます。
自分が発言するときに、あらかじめ

ちょっと長くなりますが、最後まで聞いてもらえますか?

と事前に予防線を張っておくことのです。意見を述べるときに、最後まで聞くことを約束してもらってから始めます。「コミットメントと一貫性」により、いったん約束したら、最後まで我慢をして聞いてくれる可能性が高まります。功を奏さず、途中で割込みがあっても、「あと少し我慢してもらえませんか?」と言えば、気づいてくれるに違いありません。

さらに、割り込みの被害者同士で助け合うことも重要です。
誰かが発言を抑圧されていれば、こう言って周りのみんなで守ってあげましょう。

最後まで話を聞いてみませんか?

割り込みの被害にあいそうな人がいたら、援護射撃をするのです。

そんなことを繰り返しているうちに、「話は最後まで聞く」というルールが職場の風土となり、意見を妨げられないという心理的安全性につながります。最終的にはここまで行きたいです。

会議というと、どうしても意見を「言い合う」場だと思ってしまいます。そうなると、いきおい主張するほうに意識が集中してしまい、相手の言い分をよく聞いて、正しく理解するのがおろそかになります。
そうすると、少なからず誤解や抽象的な空中戦が起こってしまいます。かみ合わない議論が繰り返される悪循環に陥るわけです。

ここで発想を変えてみましょう。会議とは意見を「傾聴する」場と考えるのです。
お互い虚心坦懐に話を聞くことを心がければ、相手への理解も進み、無用な空中戦をしなくて済みます。じっくり聞けば、相手の存在を認めるサインとなり、互いに尊重する気持ちが高まります。それは必ず職場の心理的安全性にプラスに作用します。

もちろん、意見を言う方も、他のみんなの時間を使っていることを意識して、

  • 結論から述べる
  • 事実と意見を切り分ける

などの基本的な発言スタイルは守るべきでしょう。

一人の話が終わるまで、他の人は黙って最後まで聞く。全員の意見を平等に取り扱い、特定の人が話を独り占めしない。こういった当たり前のルールを粘り強く働きかけをしていくしか、風土は変わらないのです。
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