雨のブログ

人生の雨季に本を読む

「それをどう測定しますか?」

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「企業の活動はどんなものでも数値化できます。」

以前お世話になった戦略コンサルタントの方に言われたことです。そのときは企業価値算定にあたって、逆に数値化できないものは企業価値に含まないという文脈だったように思います。

 

企業価値算定の場面だけでなく、日常の経営においても、企業活動はどんなものでも数値化できると思います。数字で測定できないものには、適切なアクションを講じることができない、または難しいということで、コントロールの外に置かれます。

財務数字と直結するような、もともと数字を取りやすい要素は、当然ながらすぐ補足できる体制を敷くことが可能です。たとえば売掛金の回収期間や毎月の経費などです。

一方で、組織文化のように数値化しにくそうなものもあります。しかし、こうした漠然としたものでも、従業員アンケートなどを行い、結果を集計すれば実情を数値的に把握できるものです。アンケートは一人一人のレベルでは主観に過ぎませんが、ある程度の数が集まれば、客観性がまし、数値として見える化できます。そうなれば十分にコントロールできるようになるのです。

もしアンケートの結果、「個々人の能力開発への取り組みが強い」という項目の点数が他の項目よりも明確に低ければ、会社として魅力的な能力開発プログラムを提供したり、目標面談の際に具体的な能力開発目標についても話し合うことを奨励したりすることで、能力開発に対する意識を高めることは可能でしょう。

そしてそれを毎年定点観測していけば、どのような施策が効果的だったのかの判断もしやすくなるのです。

 

とはいえ、測定が難しい要素も存在します。

日本の企業では3S(整理、整頓、清潔)が強調されることが多いのですが、職場の綺麗さを納得のいく形で数値化するのは必ずしも容易ではありません。

 

どこまで数値化するかは費用対効果の問題です。

そうは言っても経営にとって、どのようなポイントを大事にして経営していくかによって数値化すべきか要素かどうかを判断すべきです。

なかには定性的な情報だけである程度コントロールできるものもあるでしょうが、やはり経営として重要と考える要素については、工夫してでも数値化すべきです。

たとえば、顧客満足度を大事と考えるなら、顧客満足度を測れる仕組を経営管理にビルトインして毎月でも測定すべきです。

ある月にそれが急に下がれば、何かしらの問題が生じている可能性があるとして、すぐに何らかのアクションを起こす、といった経営スタイルが取れなければ、本来、顧客満足を第一に考える経営というものを十分に実現できないはずだからです。

 

顧客第一を掲げながら、売上、経費、営業利益しか見ていないうちの会社は、その本気を問われていることに気づいていません。