雨のブログ

人生の雨季に本を読む

「とは言え、ゼロベースで検討しませんか?」

M&Aのプロジェクトでは、実行するかしないかを決めるための事前調査として、デュー・デリジェンスが行われます。 財務面、法務面、ビジネス面でそれぞれ関係者にヒアリングを行ったり、資料をかき集めてもらって提出を求めたりします。デュー・デリジェンス…

【書評】未来を共創する経営チームをつくる(鈴木義幸著)

社外や社内含めていろんな価値観の方々と一緒に仕事をする機会が増えてきました。そういう方々とチームを組んでどうやったらうまく働けるだろうかと、チーミングやファシリテーションなどの本を読んでいます。そこで得た知見を意識して現場で試してきました…

「ここで違う意見を出すとまずいですか?」

最大2億円の赤字が見込まれるシステム開発のプロジェクトの稟議が通りそうです。ハッピーケースでも数億円の利益しか見込めないのに。十分に議論された形跡もなく、こんな提案がとおるなんてないと思っていたけど、なぜなんでしょう。 推進している役員はベ…

「それをどう測定しますか?」

「企業の活動はどんなものでも数値化できます。」 以前お世話になった戦略コンサルタントの方に言われたことです。そのときは企業価値算定にあたって、逆に数値化できないものは企業価値に含まないという文脈だったように思います。 企業価値算定の場面だけ…

「若いとか年寄りとか、関係ありますか?」

「年をとってくると記憶力も思考力も衰えるから、もう若い人たちに任せるよ」なんて言ってどんどん仕事を振ってくるおじさん社員が、私の会社にはいます。 本当に年をとってくると記憶力も思考力も衰えるのでしょうか。そのおじさん社員が本心からそう思って…

「マーケティングの部門って要りますか?」

私の会社にマーケティング部門をつくる動きがあります。過去なんども立ち上げの話が出ては消えた類のものらしいです。 マーケティングの部門をつくると、その部門だけがマーケティングの責任を負うという認識になりがちです。そうであれば部門の立ち上げには…

「この会議自体、必要ですか?」

就業時間のちょうど真ん中あたり。午後1時から2時は魔の時間です。昼食後で腹が満たされた同じ職場の人から「仕事のことでちょっといい?」などと話しかけられます。同僚とのその場で始まるちょっとした話し合いなら害が無いと思うかもしれません。しかし、…

「最後まで話を聞いてみませんか?」

誰かと1対1で話をしているときに、途中で話をかぶせられて黙ってしまったら、負けた気がします。かぶせたほうは発言を奪った意識がなく、私がしぶしぶ譲らざるを得なかったことも知りません。 会社内で地位や役職が高い人は、ふつうの状態が威圧的に働いて…

「中でも重要なのは、どれでしょうか?」

期の途中で計画に達しないことが分かってきました。例によって挽回のための未達対策会議が開催されます。 そこで挽回のためのあらゆる施策がテーブルの上にあげられ、喧々諤々議論されます。 「新しいプロモーションをやろう」「この商品を重点的に売り込も…

【書評】戦略質問(金巻龍一著)

Photo by Christina @ wocintechchat.com on Unsplash 中小企業診断士として経営者とこんな丁々発止の真剣勝負をしてみたいと思える本でした。 著者が工業化と呼ぶ、調査や調整に何ヶ月もかけて大勢で作り上げる経営戦略策定のプロセスではとがった戦略もカ…

コロナ禍で入社した新卒社員の皆さんへ

久しぶりの集合研修 新型コロナの変異株が取り沙汰されていますが、それでも以前よりは社会全体が落ち着いてきたこともあり、私の会社でも、2020年4月、2021年4月に入社した新卒社員の方向けに集合研修が企画されているそうです。 研修内容も大事ですが、人…

【書評】入門 組織開発(中村和彦著)

Photo by Cherrydeck on Unsplash なぜ、職場が楽しくないのでしょうか。働くなら楽しい職場で働きたい。そう思うのは私だけではなさそうで、活き活きと働ける職場をつくる「組織開発」という考え方があります。 「組織開発」とは組織のハードな側面(戦略、…

【書評】ワークマン式「しない経営」(土屋哲雄著)

だんだんと朝晩が寒くなってきたので、冬用の服を買いに「ワークマンプラス」に初めて足を踏み入れました。私の知っている「ワークマン」は以前のふつうの「ワークマン」で、工事現場のおじさん用の作業着が棚に入れられて売られている専門店というイメージ…

【書評】失敗の科学(マシュー・サイド著)

Photo by Liza Summer from Pexels『失敗の科学』というタイトルからは、失敗が起こる原因を科学的に分析して、失敗の発生を最小限にする方法を探る本かと思ってしまいます。しかし、本書は失敗を無くすどころか、むしろ失敗が無くならないことを前提に失敗…

【書評】両利きの経営(チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン著)

企業が、サクセストラップに陥らず、パフォーマンスを上げ続けるには、(1)自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨きあげていく「深化」と、(2)自社の既存の認知の範囲を超えて遠くに認知を広げていく「探索」の両方が大事だという主張の本です…

【書評】なぜ人と組織は変われないのか(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー著)

人は何歳になっても成長できる 課題には技術的な課題と適応を要する課題とがある 「免疫マップ」で変革を阻害するに隠れた意図に思いをめぐらす 免疫マップの考え方は個人でもチームでも有効 そしてやはり心理的安全性が大事 『人に頼む技術』を読んで、仕事…

好きな英治出版の本10選

はてなブログ10周年おめでとうございます。 10周年特別お題「好きな◯◯10選」ということで、いろいろ考えましたが、最近、私の本棚に気づいたら増えていた英治出版の本を10冊ピックアップしようと思います。 英治出版(エイジシュッパン)とは 1冊目:チーム…

【書評】ビジョナリー・カンパニー・ZERO(ジム・コリンズ著)

中小企業向けのビジョナリー・カンパニー 約30年前の著作をアップデート 仲間が大事 諦めない心が大事 なんか総花的な内容 Image by Jill Wellington from Pixabay 中小企業向けのビジョナリー・カンパニー 言わずと知れたジム・コリンズさんの『ビジョナリ…

【書評】読んでいない本について堂々と語る方法(ピエール・バイヤール著)

Image by StockSnap from Pixabay 今週のお題「読書の秋」ということで、趣向をかえていつものビジネス書ではなく、それ以外のジャンルの本を取り上げたいと思います。 今回取り上げるのは『読んでいない本について堂々と語る方法』です。 あまり読書家では…

【書評】チームが機能するとはどういうことか(エイミー・C・エドモンドソン著)

即興的なチームでも成果を出す 著者は心理的安全性の研究者 チーミングできる人を増やすのが本書の目的 「実行する組織」vs.「学習する組織」 チーミングの行動 心理的安全性を高める方法 想定される反論 心理的安全性の確保に向けて Image by Free-Photos f…

【書評】企業変革力(ジョン・P・コッター著)

職場にも変わってほしい 著者の紹介 企業変革を進める8段階プロセス 企業変革を進めるリーダーシップ 自分の会社を振り返ってみると まずは仲間あつめから Image by fahribaabdullah14 from Pixabay 職場にも変わってほしい うつで休職していると、つらつら…

【書評】影響力の武器(ロバート・B・チャルディーニ著)

人を動かす影響力の武器 著者の紹介 人にYESと言わせる 信号刺激による反応 避けがたい「影響力」 Photo by Alexandru Zdrobău on Unsplash 人を動かす影響力の武器 2019年に47歳の若さで急逝された瀧本哲史さんが著書『読書は格闘技』のなかで『人を動かす…

【書評】THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術(ジョーナ・バーガー著)

どうせなら伝え方も学ぼう カタリストってなに? 前提として信頼関係が大事 チェックリストのように使おう Photo by Clem Onojeghuo on Unsplash どうせなら伝え方も学ぼう 人にお願いすることが超絶苦手な私も、『人に頼む技術』を読んで、意外と人は人を助…

【書評】リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術(熊平美香著)

「内なる言葉」を探りたい 認知の枠組みを整理するフレームワーク「認知の4点セット」 基本的なリフレクションの方法 リフレクションの活用シーン リフレクションは「対話」のツール 著者のあきらめない姿勢に感銘を受ける Photo by Dan Boțan on Unsplash …

【書評】人に頼む技術(ハイディ・グラント著)

頼みごとが超絶苦手な私 頼みごとを相手に正しく伝える方法 こんな頼み方はいけない 著者はベストセラー作家の社会心理学者 人は誰かの助けになりたいと思っている 頼みごとが超絶苦手な私 人にお願いすることが超絶苦手な私。この『人に頼む技術』を読んで…

【書評】2020年6月30日にまたここで会おう(瀧本哲史著)

1年遅れの出席 著者の紹介 伝説の魂の講義 「自分の力で今の世の中を変えていけ!」 聞く人の胸に火をともす講義 Image by Joanna Whittaker from Pixabay 1年遅れの出席 以前から読みたいと思って買っていた『2020年6月30日にまたここで会おう』。2020年6月…

【書評】謙虚なリーダーシップ(エドガー・H・シャイン、ピーター・A・シャイン著)

謙虚なリーダーなんてあるの? 著者の紹介 個人的な関係を重視するスタイル これからは「謙虚なリーダーシップ」が求められそう まずはチームメンバーにもっと関心を持とう Photo by fauxels from Pexels 謙虚なリーダーなんてあるの? グイグイいけない管理…

【書評】リーダーシップに出会う瞬間(有冬典子著)

グイグイいけないリーダー 新米リーダーの成長ストーリー 小説のあらすじ 成人発達理論とは 自分なりのリーダーシップ グイグイいけないリーダー 会社での私のポジションは私を含めて6人のチーム(メンバー全員が私の先輩にあたります)のリーダー(管理職…

【書評】エッセンシャル思考(グレッグ・マキューン著)

「より少なく、しかしより良く」 著者の紹介 「エッセンシャル思考」と「非エッセンシャル思考」 エッセンシャル思考を常に実践すべき 実践に向けた2つの壁-「断る技術」と「人に頼む技術」 「より少なく、しかしより良く」 5年ほど前に知り合いのコンサル…

【書評】メモの変態が手帳をスマホに変えた理由(堀越吉太郎著)

発信は人のためになる 著者は元アナログな経営コンサルタント 「ずるいスマメモ術」は真っ当なものだった 発信することについてのハードルが下がった 発信は人のためになる 『アウトプット大全』を読んで、インプットしたことをアウトプットしなければ現実世…