雨のブログ

人生の雨季に本を読む

「若いとか年寄りとか、関係ありますか?」

f:id:epascal:20211224070639j:plain「年をとってくると記憶力も思考力も衰えるから、もう若い人たちに任せるよ」なんて言ってどんどん仕事を振ってくるおじさん社員が、私の会社にはいます。

本当に年をとってくると記憶力も思考力も衰えるのでしょうか。そのおじさん社員が本心からそう思っているとは思いませんが、本当にそうか調べてみました。

 

すると、やはり知能の発達はそんな単純なものではないようです。

一般には、知能の発達は青年期をピークとして、それ以降は伸びることはなく衰退の一途を辿ると思われています。とくに、中高年期になると知的能力は衰えを示すという社会通念は、何の抵抗もなく受け入れられています。しかし、『なぜ人と組織は変われないのか』にも書かれていたように、最近の研究では、成人期になってからも知的能力は発達することが明らかになっています。


年齢と業績の関係を調べた研究では、物理学者や数学者などの業績のピークは35歳ごろであり、それ以降は緩やかに低下するそうです。音楽家や画家は30代後半から40代にかけて最高の業績を上げますが、個人差が大きく、ピカソミケランジェロのように老年期に第2のピークを迎えた人物もいます。作家では作品数のピークは35歳〜45歳ごろですが、その間ベストセラーを出す年齢は45歳ごろが一番多くなっています。

 

知能は流動性知能と結晶性知能に分けられるそうです。流動性知能とは、新たな状況への適応の際に必要となる能力で、頭の回転の速さを意味します。流動性知能は、経験による蓄積と関係なく、生理的成熟と密接に関係し、青年期にピークがあり、成人期以降は衰退していくと考えられています。一方、結晶性知能とは、それまでの学習経験によって獲得された知識、習慣、判断力などです。教育や文化の影響を強く受け、成人後も発達し、老年期になってからも向上し続けると考えられています。

心理学者の研究によれば、単純な暗記のような課題に関しては、30歳ですでに成績が下がり始めます。それに対して、文書や人の話といった言語情報の理解や語彙の理解のような課題に関しては、少なくとも測定がなされた60歳まで成績が伸び続けています。

 

まぁそうですよね。実社会での活躍する年配の方たちもいますものね。

 

実社会でバリバリに働くには、計算の速さや暗記力よりも、人生経験や仕事経験によって生み出される知恵を働かせることが必要です。そうした結晶性知能は、人生経験に積み重ねによってどこまでも豊かに向上し続けていくのです。

 

うちのおじさん社員たちも、「できない」「わからない」といって若手に仕事を振ってばかりいないで、経験を活かしてバリバリ仕事に取り組んでもらいたいものです。